
サイバー保険にご加入頂いている株式会社ジェイ・エス・エス 代表取締役社長 長井 基樹様(以下、長井様)から、お話を伺いました。
IT企業にサイバー保険を進める理由を教えてください。
愛宕商事 広野(以下、広野)IT企業は、データやシステムを扱う為、サイバー攻撃の標的となりやすく、情報漏えいや業務停止のリスクが高まっています。サイバー保険に加入することで、賠償費用や営業損失が補償され、専門家の支援も受けられます。特に顧客情報を扱う企業では、被害時の影響が大きいため、適切な保険を活用し、リスクに備えることが重要です。結果として、信頼性の向上にもつながり、事業継続のための大きな支えになります。


サイバー保険を導入しようと思った要因を教えてください。
(長井様)IT業界で事業をしているので、サイバー攻撃や情報漏洩のリスクが年々高まっており、情報セキュリティは重要な経営課題として捉えていました。サイバー保険の必要性は認識していたものの、具体的な検討までは進めていませんでした。
しかし、取引先がサイバー保険を導入することを検討することになり、そのプロセスにアドバイザーとして参加したことが大きな転機となりました。提供サービスや自社開発製品において機密情報を取り扱っている背景もあり、実際にリスク評価や補償内容などの詳細について知るうちに、自社にとっても必要性が高いと実感し、導入に至りました。
サイバー保険を検討する際に、どのようなポイントを重視されましたか?
(長井様)補償範囲とコストのバランスを重要視しました。サイバーリスクは多様化・高度化しているため、どのような被害に対応できるのかを確認し、実際に自社に必要な補償が含まれているかを見極めました。特に、IT業界ならではのリスクに対応できる特約が付いている点が決め手となりました。加えて、万が一の際の対応スピードも重視し、事故発生時のサポート体制や、フォレンジック調査・リーガルサポートなどの付帯サービスの充実度も比較しました。最終的には、コストとのバランスを取りながら、安心して事業を継続できる保険を選びました。
保険部から提案時に注力した事は、どんな事がありましたか?
(広野)IT事業者には、一般的なITユーザー企業とは異なる特有のリスクが存在します。例えば、IT特約では、システムの販売先企業がシステムを利用できない場合の利益補償や、データ削除による第三者への損害もカバーされます。
そのため、個人情報漏えいとは異なり、賠償額の予測が難しく、保険金額の選択肢を複数提示する様に注力しました。また、社長や社員の皆様は、ユーザーとしてだけでなくIT事業者としてのリスクにも詳しく、『この場合は補償されるのか?』といった具体的な質問を多くいただき、相談しながら補償内容を決めていく事が出来ました。


サイバー保険に加入したことで、社内のセキュリティ対策や意識に変化はありましたか?
(長井様)情報セキュリティリスク対策の一環としてISMS認証規格を取得しているので、日頃からセキュリティ意識は高く、基本的な対策は徹底していました。
しかし、サイバー保険に加入したことで、より実践的なリスク管理の重要性を再認識しました。インシデント発生時の対応フローの見直しや、より高度な対策の導入を検討する機会にもなりました。また、保険の補償範囲を最大限活用するために、どのようなリスクが最も深刻な影響を及ぼすかを改めて分析し、取引先との契約内容や情報管理のガイドラインを見直す動きも出ています。結果として、組織全体でのセキュリティ強化がより実践的に進んでいると感じています。


同業のIT企業に向けて、サイバー保険加入のメリットや注意点があれば教えてください。
(長井様)保険なので、使わないに越したことはありませんが、万が一の際に企業の存続を左右する重要な役割を果たすと思っています。情報セキュリティの事故が発生すると、企業の信用問題に大きな影響を与え、取引先や顧客からの信頼を失うリスクが高まります。サイバー保険は、事故対応のコストを補填するだけでなく、専門家による迅速な対応支援や法的アドバイスを受けられる点も大きなメリットです。
一方で、注意点としては、補償範囲が契約によって大きく異なるため、自社の業務内容に適したプランを慎重に選ぶ必要がある点です。特にIT企業向けの特約が含まれているか、事故発生時の対応スピードやサポート体制が十分かどうかを確認することが重要です。また、保険に加入しているからといって安心するのではなく、日頃のセキュリティ対策を強化し、社員の意識向上を図ることも欠かせません。サイバー保険はあくまでリスクマネジメントの一環として活用し、企業全体で総合的なセキュリティ対策を進めることが大切だと思っています。
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